日本において、探偵業は、公的な資格ではありません。
試験も資格もないので、「私は探偵です」と名乗るだけで探偵になれます。ただし、それら探偵と浮気調査の契約をして報酬を支払うにあたっては、いくつかのことに注意しなければなりません。
それらを詳しくご説明します。
1.公的届出がされているか
これは、生業(なりわい)として探偵業を行うにあたっては必須項目です。探偵業を行うためには、都道府県の公安委員会にその旨届け出て、証明書を事務所に掲示しなければなりません。
ただし公的な届出はこれだけですから、中には「もぐり」の事務所もあります。極端な場合には、事務所すら持たず、自宅で携帯電話とファックス、カメラだけを持って「探偵」と名乗っている場合もあります。
そこで、興信所を選ぶにあたっては、次の点は必ず調べましょう。
(1)探偵業の届出書が掲示されているか
公安委員会へ届け出た証拠が、事務所やホームページに明示あるいは記載されていなければなりません。
(2)実際に事務所が存在しているか
最低限、きちんと事務所を構え、スタッフや事務員がいなければなりません。
ホームページを見て訪ねたら、レンタルオフィスやマンションの部屋だった、個人の家で副業として行っていたということもあります。
(3)誇大広告をうたっていないか
インターネットのホームページは、探偵業に限らず重要な企業情報であり広告ですが、極端にいい言葉ばかりうたっている事務所は要注意です。
例えば、
「成約率100%」
「業界最安値」
「必ず浮気証拠を突き止めます」
などで、中には浮気していないケースもあるわけで、こうした言葉が踊っている事務所は、注意してかかるべきです。
2.探偵業とコンプライアンスの関係
これらが大切な理由は、当然ながら探偵事務所・興信所が守るべき法律=コンプライアンスです。根拠は、探偵業法第13条で、
『公安委員会は、この法律の施行に必要な限度において、探偵業者に対し、その業務の状況に関し報告もしくは資料の提出を求め、又は警察職員に探偵業者の営業所に立ち入り、業務の状況もしくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、もしくは関係者に質問させることができる。』
によります。
つまり警察は、立ち入り検査によって事務所を調査することができるのであり、関係書類やスタッフの勤務状況を調べることができます。そこで法令違反が認められた場合は、行政処分あるいは罰則を受けることになります。
行政処分の内容は、次の3つです。
- 指示
- 営業停止命令
- 営業廃止命令
罰則には、3種類あります。
- 30万円以下の罰金
- 6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金
- 1年以下の懲役または100万円以下の罰金
探偵として業務を営み、顧客から報酬をもらうためには、法律に基づいて届出を行い、関係書類等をきっちり揃えておかなければならないということです。
そして法令違反があれば、事務所は国から処罰を受けることになります。そうした法的裏付けがなければ、浮気調査を依頼する側としては安心していられませんね。
コンプライアンスとは、端的に言えば、顧客の権利を守るためにあるのです。
3.機材は十分にそろっているか
注意すべきことは、まだあります。たとえ法的届出がきちんとされていても、探偵業を全うするために必要な機材が揃えられているかどうかも大切なポイントです。
例えば、高感度撮影が可能なデジタル一眼レフカメラ、ビデオカメラです。高感度とは、人の肉眼では暗くしか見えなくても、カメラの感度を上げれば昼間のように写すことができる機能で、暗闇における写真撮影には必要不可欠です。
他には、超小型カメラ、GPSロガー、ボイスレコーダー等です。いずれも高額なものではありませんが、これら機材の使い方やシチュエーション別の用途をよく理解していることが必要です。
4.顧客への説明は十分か
そして最後に、重要事項説明があります。
これは、売買契約・貸借契約・委託契約等に際して、商品やサービスを提供する側が、重要事項説明書に基づき、契約に関する重要事項を消費者に対し説明することです。
すると、興信所や探偵事務所側からは、浮気調査について、調査方法の内容、料金、契約期間等について十分な説明をしなければなりません。
これらを十分に説明したうえで、顧客は重要事項説明書に捺印をします。言い替えれば、浮気調査の内容、料金、契約期間等に少しでも疑問や曖昧な箇所があったら、捺印をしてはなりません。
日本人はおおむね「これぐらいは大丈夫だろう」と、相手の良心に期待してしまい、あとで自分の想像と違っていてうろたえることがありますが、そうした部分は排除して契約しなければなりません。
探偵事務所・興信所の料金体系が分かりにくいことがそれに拍車をかけています。浮気の調査に関してなかなか他者に相談しにくい、一般的相場が分かりにくい等の理由から、事務所側の言いなりになってしまいがちですが、契約書はよく読み、重要事項説明は漏らさず聞かなくてはなりません。
浮気調査と探偵の基礎知識
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